爪のお話

1.爪の水虫(爪白癬)って、どんな病気?

爪の病気の中で一番多くみられるのが爪白癬(つめはくせん)、いわゆる爪の水虫です。爪白癬は足の水虫と同様に白癬菌というカビが原因で起こりますが、 爪が白く濁ったり黄褐色に変色する、分厚くなるなどの特徴があります。60歳以上の4割の方に認められるという報告もあるほどありふれた病気ですが、 痛くも痒くもないことから気づいていない方も多いようです。足の水虫放置した結果、起こってくるケースが大半です。

2.治療しないとうつるって、本当?

治療されていない爪白癬の爪からはたえず 白癬菌がバラまかれています。その結果、自分の足の水虫も完治しませんし、体のほかの場所や、まわりの家族、 友人にも感染源となってうつしてしまう可能性があります。大切なご家族、お子さん、お孫さん、お友達にもうつしてしまう可能性が十分にあります。 [注1] 白癬菌がからだのどの部分に寄生したかによって、病名が変わります。股に寄生するのが股部白癬(いわゆるインキンタムシ)、頭に寄生するのは頭部白癬(いわゆるシラクモ)、 おなかなどのからだ全般にできるのが体部白癬(いわゆるゼニタムシ)です。足から爪、爪からこれらの部位にうつることもあります。 [注2] 白癬菌は皮膚や爪をつくっているケラチンという蛋白質を栄養にしていますので、皮膚はもちろんのこと、皮膚の一部である爪や髪の毛にも寄生します。

3.どうやって治すの?

治療には抗真菌薬(こうしんきんやく)と呼ばれる飲み薬が使われます。爪は表面が硬いため、塗り薬を外側から塗っただけでは、爪の中にまで薬の効果が行き渡りません。 そこで飲み薬による治療が行われます。飲み薬は血液の流れによって爪に運ばれ、爪の内側から作用しますので、爪の中にいる白癬菌にまで確実に薬の効果が届くことになります。 抗真菌薬には以前から使用されているグリセオフルビン、近年使用されるようになつたラミシール、イトリゾールがあります。効果および併用禁忌の少ない点・薬価が安いことなどから、 私はもっぱらラミシールを第一選択にしています。爪は皮膚の一部ですから皮膚科の専門分野となります。爪白癬以外にもたくさん爪の病気はありますし、 爪の変化から内臓の病気がわかることもありますので、爪に関する悩み、何かおかしいなと思ったときは、ぜひご相談下さい。